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育児日記 15 〜揺れるカーテン〜
2005 / 12 / 29 ( Thu )
3時間起きて3時間眠るという生活を繰り返していたせいか、夜中に目覚めた。

昼間は看護師が代わる代わる立ち入り、訪問客が訪れてそれなりに賑やかな病室も、

夜になると静まり返り、ちょっと不気味だった。



脳神経外科というのは、僕の親父も入院していたからわかるのだが、重篤な患者が多い。

常に医療従事者と患者以外の家族が存在し、

寝ているような起きているような空間が形成されていて、

なんとも言えない独特の雰囲気がある。



左→脳梗塞で認知症の進んだおじいさん。



右→小脳梗塞だけど、今は元気なおじさん。ガッツさん。

対面→脳内出血で退院したその夜に再出血したおじさん。

対面左→竜巻の超低気圧のせいで、脳内出血したおじいちゃん。

対面右→空きベッド。



僕とガッツさん以外はほとんどが眠りについている。

いや、今だけではなく、24時間ずっと…。



目覚めてみたがヒマだ。

薬が効いているので寝ていれば痛みは無いのだが、

起きる時はまだ辛く、また無理して起きる必要もないので、

妻に送ってもらったテルの写真と動画を、携帯電話で繰り返し見ていた。



その時である。

僕の鼻に懐かしく刺激的な臭いが漂ってきた。

(たばこかぁ…そういえば吸ってないなあ…って!?タバコ!!!!!)

右側のガッツさんが起き上がった雰囲気が分かった。

「タバコ…臭くない?」

「ええ、しましたね…」


誰も起きていないはずの病室からタバコの臭い…

何故なんだろ?

タバコを吸ったばっかりの人が来たのか?

いや、そんなレベルの臭いではない。

直ぐそばで吸われたかのような臭いだ。



その時、カーテンが揺れた気がした。

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10 : 11 : 01 | [育児日記]入院編 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
育児日記 14 〜忍び寄る恐怖〜
2005 / 12 / 28 ( Wed )
整形外科の病棟が空いていないということで、

脳神経外科病棟に入院することになった。

痛み止めが効いたのと、入院すればこの痛みを取り除いてくれるという安堵感からか、

病室に入った途端、眠りについた。

2004年8月23日朝5:00、僕はこれから襲う恐怖を知らずに眠りこけていた。



次に起きたのは朝食の時だった。

起床と共に痛む。

起きたら少し痛みが和らいでいるというかすかな期待も無残に打ち砕かれる。



とりあえず薬を飲むために、一口でもいいので食事をしようと起き上がる。

起き上がらない。

いや。起き上がれない。



寝ている姿勢から起き上がろうとすると、必ず首を使うということに愕然とする。

どうやっても首に力が入る。

頑張る→踏ん張る→激痛→寝る→激痛。

打って→打って→叩いて→打って→叩いて、ってカンジ。

ツー→ツー→ツツ→ツー→ツツ、ってカンジ。

こんなことを食事のたびに繰り返していた。



痛み止めの持続時間は4時間。

そのうち3時間くらいはゆっくり眠れる。

かなり強い薬らしく、初日から胃が痛くなってきた。

一向に収まらない痛みに、苛立ちと焦りを感じる。

子供と妻の顔を相互に思い浮かべながら、この日何回目かの眠りに落ちた。



その夜、恐怖はやってきた…

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16 : 06 : 27 | [育児日記]入院編 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
育児日記 13 〜入院〜
2005 / 12 / 27 ( Tue )
診察室に入る。

もう痛いのか痛くないのかすら分からない。

昨日までは元気だった自分が妬ましい。



この日は幸いにも整形外科医だった。

触診され、こっちに動かせ、あっちに動かせという指示に、

心の中でありったけの呪詛を吐く。

で、従わない。

いや、従えない。



首を傾げる医師。

「痛がり方が尋常じゃないねぇ」

と、言われ、

「大人のくせに恥ずかしい」

と、言われたような気がしてムカツいた…というのは、

後から思い出した時で、一刻も早くこの痛みをどうにかして欲しかった。



「じゃあ、とりあえず、筋肉の緊張を取る注射を打とうか」







「嫌だ!!!」







奥で診察中の他の医師も振り返るくらいのデカイ声でそう言った。

この時のことは、今でもよく分からない。

なぜか、首に注射をしたくなかった。

もう、本能としかいいようのない感覚。

『怖い』というか、耳元で『絶対、ダメだ!』と叫ばれている感覚に近かった。



「う〜ん…」



「・・・・」



「わかんないね?なんだろね?」



「・・・汗」



「はい、とりあえず入院」



「・・・はい(泣」

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17 : 06 : 12 | [育児日記]入院編 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
育児日記 12 〜激痛〜
2005 / 12 / 27 ( Tue )
テルが生まれて10日が過ぎた2004年8月22日、

ある朝、僕は起きれなくなった。

首に激痛が走る。

もし、人間にエビの背綿のようなものがあれば、それを全馬力で引かれるような、

このままにしておいたら、反り返って「O」になってしまうような痛みだった。

寝違いなのか?

その割にはどちらか一方が痛いというわけではない。



妻に助けを求めようとするが、声を出す事すら怖い。

朝ごはんを食べようとするが噛めない。

段々と具合も悪くなってきた。



痛みに耐え切れなくなり、友人の整体師のところへ連れて行ってもらう。

もみ始めて10分。

15年来の友人の手の動きを感じる。

(あ〜こりゃ、触れないほどのヤバさだな)



夜になると熱も出て来た。

39度。

この時はお産の里帰りの妻に伴って、妻の実家にいた。

お義母さんに県立病院の救急受付へと連れて行ってもらう。

この時、時間は22時。



朦朧とした意識の中で、名前を呼ばれている事に気付く。

時計を見ると、朝の4時。

我慢する時に声が出ていたのかもしれない。

目を開けると、見知らぬ子供が不気味そうに心配そうに見てた。



気付くと車椅子に乗せられていた。

ぼんやりと、テルと妻の事を思う。

何故だか笑っていた。

僕は、きっとなんともない病気なんだと、何故だか漠然と、この時は思った。

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11 : 54 : 03 | [育児日記]入院編 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
クリスマスプレゼント。
2005 / 12 / 24 ( Sat )
今日はクリスマス・イブだ。

そう気付いたのは、朝だった。

朝からテルへのクリスマスプレゼントを組み立てたりした。



ウチのクリスマスは25日にすることと決めた。

大きくなって、24日は彼氏と過ごしても、25日は家族で過ごしたいという、

お父ちゃんとお母ちゃんのささやかな願い。



テルへのプレゼントを眺める。

まず、お父ちゃんとお母ちゃんから。
ノンタンのDVD

次にお義母さんから
ダイヤブロック
「ミッフィーの椅子」
三輪車

うちの両親から
手押し車(?)

後、お義母さんの友達からぬいぐるみ、

ひいばあちゃんからミッキーのクッションなどを貰っていた。

「よかったね、テル」

と言いながら、ひとつひとつを開けていく。

ふと、自分の子供のときは何を貰ったのか思い出していた。



クリスマスの夜は親父を待っていた。

もうだいぶ早くに



「サンタは父親である」



と、4つ離れた姉にカミングアウトされた、かわいそうな3人姉弟の真ん中っ子は、

それでもイベントの持つ楽しさと父親に対する感謝の意を述べたくて、

夜遅くまで寝ないで待っていた。

真面目で仕事一筋の父。

それでもクリスマスプレゼントは忘れずに用意してくれてた。



待ちきれずに朝を迎える。

待ちきれなかった悔しさよりも、プレゼントに対する楽しみの方が勝る。

わくわくしながら包みを開ける。

用意した靴下に入りきれてないのが嬉しい。

包装紙を丁寧に開けるのももどかしく、最後は破って包みを開けた。




エジソン





(エジソン・・・)

まさかと思い、高学年である姉のプレゼントを見る。

高学年であれば、本であるのも納得できる。



(僕が欲しいのはスタージンガーの超合金なのに・・・)



姉が暗い顔でプレゼントを持ち上げる。



ナポレオン





父は姉に何を期待したのだろうか?

そういえば姉は、36歳になる今でも独身である。

そういえば、どことなく風情が雄雄しい・・・

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23 : 55 : 39 | [未分類]雑記 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
育児日記 11 〜どんぐり〜
2005 / 12 / 08 ( Thu )
テルが生まれてからの10日間は疲れた。

ひっきりなしにお祝いの客が訪れ、ゆっくりテルの顔を見れるのは夜だけだった。

嬉しい事なのだが、さすがに笑顔を維持するのも難しくなっていく。

そもそも愛想がいいほうではなく、人に勘違いされるタイプなのだが、

それでも、来てくれる人に失礼に当らないように頑張った。




頑張る?




こう思っていたことが既に相手にとって失礼なのだと、

今となっては思えるが、おばちゃん達のこの質問が一番堪えた。




「可愛いでしょう?」




「ええ、そりゃもう♪」




な〜んて言えない九州男児。

本当は世界の中心で愛を叫びまくるくらいの気持ちですよ。

もうMaxHeartですよ。



これは、お父ちゃんの反応を見て楽しむマダム達の戯れだということに、

今となっては思えるが、だけど、なんか言えない。




「当たり前の事を聞くなボケェ
 俺は阿蘇山たい! 怒ればでっかい噴火山たい!」

キレンジャー


と言ったのは心の中でのことで、本当は、




「はぁ」




と笑って肯くことが精一杯だった。



たぶん、ぬるいお父ちゃんね!って思われてることであろう。

それはまだいい。

ある晩の事だ。

天気は朝から愚図つき、今日はもう客は来ないだろうと思っていた面会時間終了寸前の事だ。

お父ちゃんもお母ちゃんも仲良くしている、親戚のおばちゃんがやってきた。

ふと気が緩む。

やはり気が置けない人が来ると、口も体も自然と動く。

雨の中来てくれたおばちゃんの為に、冷蔵庫からお茶とコーヒーを取り出そうと、

お父ちゃんはみんなに背中を向けて座った。

その時である。

あの質問が来た!




「かわいいやろ〜?」




「ええ、どんぐりみたいです」




「・・・・・は!?」



「い、いや、ど、どんぐりみたいな髪型だなあって…」




見てはいけないものを見たような目を投げつけ、

おばちゃんは風のように去っていった…。



娘はこうして育っていく。

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12 : 32 : 57 | [育児日記]妊娠・出産編 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
育児日記 10 〜微笑〜
2005 / 12 / 07 ( Wed )
学院生達が娘の鼻にチューブを通し、羊水やらなにやら(謎を吸い出す。

血のりもキレイに拭いてもらった。

2004年8月12日。

3120グラム。



不思議な感覚だった。

なんというか、頬っぺただけ熱いというか、

泣いてしまう前の感じがずっと続いているかのような、

そんな、変な感覚に包まれていた。



誰かに言いたくてたまらない。

妻を誉めてもらいたい。

生まれたこと自体が奇跡のように思えた。



小さな頭。

小さな目。

小さな掌。

小さな足。

総てが愛しい。



部屋から人が消え、妻とテルと3人になる。

カンガルー抱っこされるテル。

小さい目でお父ちゃんとお母ちゃんを交互に見る。

フッと微笑んだように見えた。



娘はこうして生まれてきた。

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15 : 36 : 15 | [育児日記]妊娠・出産編 | トラックバック(0) | コメント(4) | page top↑
止まらない! 〜うれしはずかし初体験♪〜
2005 / 12 / 05 ( Mon )
と、言う風に見えたのは錯覚で、痩せて髪を振り乱したおばあちゃんだった。




お前が悪い!




お前がそこにいたのが悪い!




お前がこの世に生を受けたのが悪い!




Wriiiiiiiiii!!!
 とか言われちゃんだろうなあ…)




しかし、どうも、隣の車をギロ見している模様。

面倒くさいが、車を直す事を優先する。
車を降り、相手の車へ近寄ろうとする。
すると、むこうのおじいちゃんが小走りで近寄ってきた。

「隣の車がですね、方向指示器も出さずにですね、こうですね、グワーッとですね」
「はい」
「それでですね、こっちがですね、あれでですね、お宅の車にですね、はい、はい、はい」
「はい」





おじいちゃん止まりません(泣




「とりあえず、ここでは危ないのでついて来ていただけますか?」
と紳士ぶりながら、ナンバーをチラ見する小市民な僕。
おばあちゃんはハコ乗りしながら、まだ隣の車を睨んでる。
(よし!そのままの状態でついて来い!お願い…)という願いも空しく、
おばあちゃんは頭を引っ込めた。




チッ…




近くの空き地へ誘導。
おじいちゃん走り寄る。
おばあちゃんは助手席に座ったまま微動だにしない。
薄暗い街灯に映し出されたソバージュ&スパイラルが、そこはかとなく怖い…。

「隣の車がですね、方向指示器も出さずにですね、こうですね、グワーッとですね」
「はい!?」
「それでですね、こっちがですね、あれでですね、お宅の車にですね、はい、はい、はい」
「はい…」


もう、あれですよ…。




Romanticが止まらない




胸が苦しくなります…




切なさも、Fu!、止まりません(泣




〜つづく〜

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